ふと我にかえる

ここ二年ほど、本の世界にどっぷりと嵌まることがなく、そのせいか文章を書く意欲が湧かず、書いたとしても上手く自分の気持ちを表せないもどかしさを感じていた。

久々に本の世界に引き込まれ、一気に読んだ本がある。みっきーが置いてった『流星ワゴン』重松清。悔しさと哀しさと愛しさとが、一つ、一つと私の心に積み重なり、押し潰されそうになる。主人公の38歳の男と自分がオーバーラップする。最後にその男が、小さなチャンスに縋り付いて、もう一度頑張ってみようと、小さな一歩を踏み出す。そこで私も同時に救われる。救われた気になる。

小説とはそういうものであった。自由に感じ、自由に重ね合わせ、自分なりの形で救いを見出だす。

小説とはそういうものであった。

久々に心を開放させることができた。みっきーはこんな小説が好きだったんだねぇ。

無理に明るく前向きになんないでもいっか、と久々に息をつく。