幸福なヒトトキ

中華街にて早めの夕食を終え、不思議発見までの一時間くらいをタリーズで過ごした土曜日のこと。何にもしなくて良くて、やっぱりなごだあと過ごす時間が愛おしくて、多分幸せとはこのようなヒトトキのこと。ひんやりとした夜気をまとって入った時のコーヒーの香りの芳しさはえも言われない。

そこのタリーズには絵本がいくつか鑑賞用に置いてあり、コーヒーを飲みながら、だあと二人で回し読みした。どれがよかった?と聞いたところ「これが一番おもしろい」と、私と同じものを指した。

その本のストーリーは、ある豊かな国に大泥棒が変装して忍び込み、国で一番の宝を盗もうとする話。家来や町の人々が不安がっているなか、王様だけは全く不安げな様子もない。大泥棒が国の宝物が何かと突き詰めるのだが、一向に王様の宝物がわからない。ある日王様が「国で一番の宝をみせよう」と指した扉の先には、幸せな生活を営むその国の人々の姿があった。この国の人々の幸せという大きな宝は誰にも奪えませんよ、という話。

だあに選んだ理由を聞いたら「最後にどろぼうがその国のかぎやさんになったから」という答えが返ってきた。