初詣で

元旦には決まって近所の神社に初詣でに行く。数年前からはお父さんとお兄ちゃんも加わるようになり、一家総出七人である。

その神社には神様を呼び出す鈴が五つある。真ん中には大きな鈴、その両隣には中ぶりの、一番端に小ぶりの鈴が並んでいる。今年は本厄であり、心してお参りせねばならない為、真ん中の特大鈴を目指して列のど真ん中に並んだ。

ところが、右斜め後方から、同じように大きな鈴を狙って私を追い出そうとする輩がいる。誰かと振り返ると、兄である。兄の私に対するいじめは半端なく、徹頭徹尾いじめ倒す。戦国時代であったら熾烈な争いを繰り広げていたに違いない。

ややや、これは要注意。とこちらもプレッシャーに負けじと足を踏ん張る。公衆の面前で大きな鈴を取り合うなど、子供でもしていない。私と兄は人知れず攻防を繰り返した。

結局は私が勝ち、兄は脇の鈴へ流れていった。賽銭の10円玉を投げ入れ、大きな鈴をガランゴロンと鳴らして祈ったことは「家族皆が幸せで健康でありますように。お兄ちゃんとお嫁さんが仲直りしますように。」と、いつもと変わらぬものでしかなかった。結局、兄の幸せも願っているので、何の為に小競り合いをしたのか意味不明。

一瞬「今年は幸せな結婚が出来ますように」と祈ろうかとも思ったのだが、利己的な願いは聞き届けられそうもないし、家族が幸せだったら結局それでいいか。

御神籤はお兄ちゃんも私も二人揃って「末吉」と出た。運のよい兄の横顔は不満そうであったが、私はここ数年毎年末吉であり、まずまずの運ではないかと思っている